僕は闇金にも手を出し、多重債務に陥いり苦しい借金生活を送っていましたが、家族の手助けによって借金はなくなりました。
借金していないことがこんなにも清々しいことなんて思ってもいませんでした。悪夢をこれまで見ていたかのように、生活はとても楽になったのです。
そして、これでギャンブルとも縁が切れる…と思っていました…。
簡単には抜け出せないのがギャンブル依存です。僕は再び、やってはいけないことを…してしまうのでした。
完済すると消費者金融はまたお金を貸してくれました
「もう二度と借金なんてしない」
そう誓ったはずでした。しかし僕は誘惑に負けてしまったのです。
借金を完済して数日後、消費者金融の1社から連絡がありました。
「〇〇さん、先日完済して頂きましたので、再度申し込んで頂きますと、初回から増額してご融資できますがいかがなさいますか?」
「いやもうお金は必要ないです」
「そうなんですね。もし宜しければ今申し込みして頂ければ、簡単な審査だけでご融資できますが…」
「すいませんが、もう必要ありません」
「分かりました。今回は70万円までご融資できますので、カードだけでも作っていて損はないと思いますよ。別に今すぐ使う必要はありませんので」
最初はもうこりごりだと思っていましたが、話を聞いているうちに作るだけならいいかなぁと甘い考えが浮かんできます。
相当お金で苦労したので、保険は無いよりあった方がいいと自分を納得させるように…。
「だったら申し込みだけ一応しときます」
「ありがとうございます。ではご来店お待ちしております。」
絶対に金輪際、カードは作らないと固く誓ったはずだったのに…。
つい最近までどこからも融資を断られ、借りれるのは闇金だけでした。それが今では信用を取り戻して、金融屋の方からお金を貸したいと言ってくるその状況が嬉しかったのもありました。
しかも闇金融と比べると消費者金融は金利も安く、とても良心的に思えてきました。
こうして、どうせ使うこともないだろうと考え、再度契約することになったのです。金融屋から連絡があって、あくる日のことでした。
そして、再びカードから現金を引き出せると思うと、悪い虫がじわじわと騒ぎ始めます。お金に目がくらむと言われるように、融資額を聞くと居ても立っても居られなくなり翌日すぐに金融屋に足を運びました。
ほとんど審査らしいものはなく、20分くらいでカードが発行されました。
「すぐにカードを使ってATMからお借り入れできますので、ぜひお使いください」
「…あ、ありがとうございます」
契約終了後、すぐに現金5万円を借り入れしました。
本当に僕はダメな人間です…。
完済後に以前より金遣いが荒くなっていった
以前お金を借りる時は、最初は10万円、少し経ってから20万円、そんな感じで徐々に増枠していきましたが、今回は最初からMAX70万円使えます。
5万円借りても、まだ65万円も借りることが出来るのです。なんだか一気にお金持ちになったようなそんな感覚になっていました。
「久しぶりに気分転換にパチンコしよう」
色々ずっと我慢していたので、少しくらいいいだろうと軽い気持ちで久しぶりにギャンブルをしました。
そして、気持ちにも余裕があったのか、見事に勝つことが出来たのでした。
ギャンブルで勝利する気持ちよさを久しぶりに味わい、いけないことをしていると分かっていながら、やめられない自分がいました。
「ギャンブル依存は一生治らない」
そういう風に言われることがありますが、正しくその通りです。
それから以前のように休みの日にはパチンコ屋さんに入り浸りました。勝った時はパァーっと派手に遊び、勝ったお金はすぐに無くなっていきます。
「また稼げばいいや」
と、どんどん浪費癖をぶり返していきます。
しかも、お金を持っていると、自然と勝ちやすくなるのでしょうか、負けることも確かにありましたが、この時は勝つことの方が多かった気がします。
しかしずっとやり続けると、必ず負けていくのがギャンブルです。
徐々に負けが込んできて、あっと言う間に、キャッシングの30万円は使い果たしてしまいました。
「ちょっとヤバいよな。少し自粛して他のことに使おう」
さすがに以前の二の舞になるのはヤバいと感じたので、あまり行かないように気を付けました。
映画鑑賞したり、漫画を読んだり、お金を使わない趣味に走るように仕向けます。
どうしてもギャンブルをしたくなった時のための対処方法はあります。自分にあう方法でギャンブル欲求を抑えていってくださいね。
しかし、使えるお金があって暇な時間があるとついつい気持ちが緩むのが人間です。
一度緩んだ気持ちは簡単には自制が効かず、以前よりも豪快にお金を使うようにもなっていました。
「無くなったらまた借りればいいや」
服を買ったり、飲み食いやバイト仲間におごることにもためらいはありませんでした。気づいた時には、自分の中の理性はもう完全にふっとんでいました。
リバウンド(スリップ)の始まりでした。
借金が減って心に余裕ができ元カノのことを思い出した
借金を完済したことで心に余裕が持てるようになり、毎日お金のことしか考えなかった生活から一変し、僕にある変化が起きます。
「もうすぐ大阪を離れるんだよな…。元カノは元気だろうか…」
自分の中ではもう過去のことだと頭では整理がついているはずでした。でもどこかで、昔の恋愛を引きずっている自分がいました。
「そこに戻っちゃいけない…」
頭では分かっています。でも、心が追い付いていかないのです。
元カノというのは、僕が初めて付き合った年上女性の千尋のことです。
「最後に連絡してみようかなぁ…」
何度電話しようと思ったか…、でもそれをしてはいけない気がしました。
そんな気持ちでいた時、思わぬ人から電話がかかってきます。2番目の元カノ、“ 舞 ”からの電話でした。
「久しぶりぃ、元気ぃ?」
「おう、別れたのに電話してくるか普通?」
「今から会わへん?」
小悪魔的な性格は健在で、突然遊ぼうと言ってきたのです。
最近あまり笑うことがなかった僕は、久しぶりに舞と遊んだことで、腹を抱えて笑っていました。これは舞のお陰です。
居酒屋でご飯を食べて、カラオケに行って飲んで歌ってとても楽しい時間を過ごせました。
「また遊ぼう♡」
「おお、またな」
この日からよく二人で遊ぶようになり、昔の恋心にも似た気持ちにもなっていきます。
今思うと、この時、舞も同じ気持ちになっていたのでしょう。
友達以上、恋人未満ではあったが、それでも良かった。
刻一刻と別れの時間が迫っていました。最後の方は、毎日のように会ってお互いを求め合いました。
いよいよ僕は大阪を離れる時がやってきました。
「必ず帰ってくるから」
「待ってるよ」
新幹線に一人で乗って大阪を離れる時、涙が溢れ視界がぼんやりとしていました。
「必ずここに戻ってくる」
そう強く誓いました。
地元に帰ってからも舞とは連絡を取り合っていました。誕生日にはお祝いメールを送ったり、旅行に行く約束までも。
「早く大阪に帰りたい」
そう思えば思うほど、現実を見ることになります。
せっかく完済した借金だったのに、僕は再び借金を作っていました。
その借金総額は150万円をすでに超えていました。約3か月足らずで、150万円にも借金は膨れていたのです。
就職活動をして、一旦正社員になるものの、モチベーションが保てず職を転々とします。
大切な人を迎えに行かなければいけない、けど借金があるせいで中々身動きが取れない…。舞とは連絡はずっと取っていましたが、日に日に二人の距離は離れていきます。
喧嘩をする日も増えていました。ある日、舞が僕に言います。
「ほんまに会いたい思ってるんならお金貯めてもうとっくに会ってるって。会いたい気持ちがないんちゃうの?」
「いやそんなことないって…」
舞は本当の僕の気持ちに感づいていたのでしょう。
言葉では舞のことが好きだと言っていたけど、本当は僕の心にはずっと千尋がいることを。
それ以来、2人が連絡を取り合うことはなくなりました…。
僕の気持ちを感じながらも、それでも僕との時間を過ごしてくれた、そんな舞には悪いことをしたとこの時思いました。
「俺って本当に中途半端な男だよな…」
ギャンブルにハマることで、何度も借金を作り、上手くいくであろうことも物に出来ずに…。本当はもっとやりたいことがあるのに…。自分のことが不甲斐なく思い、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
「なんとか借金だけでも無くさないと…」
そう思いながらも中々決断出来ないでいました。
僕は正社員として工場で働くことになり、ひとまず仕事に専念することになります。
しかし、中々借金は減らず、昔の記憶をかき消すようにギャンブルに再度のめり込んでいきます。限度額ももう限界寸前です。
僕は現実を受け止め、もう一度やり直す決意をしました。
続きます…
【第12話】恥ずかしいけど勇気を出して債務整理してギャンブルで作った借金を完済した
【第10話】ギャンブル依存者が借金返済する方法は意外に簡単なことだった
【第6話】彼女がいなくなり悲しいことにギャンブル依存症が悪化していきます
【第1話】浪人生の分際で彼女のためにカードを作って破滅した友人