大学生になってからの話になります。
都会での暮らしは刺激的ですがどこか孤独を感じることも…。大学生の多くは、色んな葛藤をしながら生きています。僕も同じで、大学生という肩書にうんざりしていました。
「こんなはずじゃなかったのに…」
世間一般の見方とは違い、大学生は自由で楽しいことばかりじゃないのです。
そんな中、僕は自分だけの居場所、生き甲斐を見つけることになっていきます。
夢にまで見た憧れの大学生は思ったほど楽しくなかった
元々一人暮らしに憧れていた僕は、大学に行くなら都会が良いと思っていました。都会の大学生に夢を見ていたのです。
「どんな素晴らしい生活が待っているのだろう」
期待を胸に僕は大阪に住むことになりました。
夢に向かう新幹線の車内で関西弁が飛び交ってくると、新しい暮らしがいよいよ始めるのだと胸が高まりました。日本第二の都市ですが、それでも地方の僕からすると衝撃的な街です。
まず一番ショックを受けたのは人の多さ。
地方でも繁華街だけは人が多かったりしますが、そんなの比ではありません。これまでどれだけ狭い空間にいたのかまざまざと見せつけられた気がしました。
新しい暮らしへの期待はありましたが、それと同時に不安も少し感じるようになりました。
一つが、知り合いがいないこと。社交的な性格ならどんどん友人も作っていけるのでしょうが僕にはそんな器用なことは出来ませんでした。
大学での生活は想像していたのものとは違い、ただ授業を受けるために大学に通う。極端な話、義務教育の延長のようなもの、そういう風に感じるようになっていました。
このままではいけないと思い、サークルにも入りました。
大学生と言えば、サークルでしょう!コンパでしょう!今より少しは楽しくなるかもと積極的に飲み会にも参加しました。でも何か違っていました。
確かに楽しいと感じる瞬間はありましたが、どこかで心から楽しいと思えない自分がいたのです。
「よおっ!最近自分あんまり顔見せへんよな」
徐々にサークルにも足を運ばなくなり、実質、籍だけ入っている状態に。
「何か違うんだよな…大学ってこんなところなんだ…」
大学と言う幻想に夢を描いていた僕は、現実にすごく落胆していました。
小中高では常に与えられる立場や敷かれたレールの上で、何となく過ごし楽しくないと思っていまいたが、仲間がいれば、やっぱり楽しいものです。
しかし大学という場所は、基本的には自主性が尊重され自分がやりたいと思ったことはやれるし、やりたくないことはしなくても特段問題はありません。そうなると、自ら考え行動してこなかった学生にとっては、初めて孤独を感じることになります。
そんな中、学生とは言え、親の仕送りだけではお金に余裕が出来るはずもなく、アルバイトを始めることになりました。
生まれて初めての仕事でした。
仕事をする楽しさを覚えてしまった学生
アルバイトと言っても簡単な運送会社の荷物の仕分け作業です。(簡単と言っても、色々と頭は使うんですけどね…それが仕事です)
なぜ学生らしからぬ地味なバイトを始めたのか?
単純に給与が良くて簡単な作業だったからです。夜の8時から朝の8時まで働いて日給1万円なら悪くはないと思います。
しかも、短期でも長期でもいつでも辞めることができるバイトでした。拘束時間は結構な時間がありましたが、動きっぱなしでもなくこの給与。最初に思ってた以上に良い仕事でした。
ただ、当初は長く続ける予定もなく、とりあえず始めたバイトでした。働いている人はほとんど20代後半から30代以上のおっさんばかり。
「この人たちは何のために働いているのだろう?終わってるよなこの人たち…顔が死んでるもんな…」
当時は運送会社の倉庫で仕分け作業をすること、そしてそこで働いている人を上から目線で見ていたふしはあります。まだまだ子供だったんですね…。
そんなバイト先で人情に熱い、社員の「山本さん」と出会いました。
若い頃から大型トラックを運転し、運送業に誇りを持っている人でした。仕事に対する姿勢は真面目でしたが、一旦休憩になると顔がほころび面白いこともよく言い、ムードメーカー的存在です。
仕事終わりにみんなを自宅に招いてくれご飯をご馳走してくれたりと、山本さんは何かとよくしてくれたのでした。僕も若かったというのもあり色々面倒も見て頂きました。何かもう一人の自分を見つけたような感覚もあり、つまらないと思っていた物流の仕事がいつしか楽しく感じるようになっていきます。
大学では思ったよりも楽しいこともなく、何のために大学に入ったのか…自分が何をしたいのか…全てが分からなくもなっていました。
楽しい学生とはかけ離れた傍から見たら楽しそうに見えないバイトです。でも、ここには僕の居場所があったのです。
仕事の楽しさを感じながら徐々に学校にも行かなくなりました。
たまに学校に行ってもほぼ寝てる状態。それはそうですよね?みんなが寝ている時間に働いているのですから。こんなんだから規定の単位が取れず3年次にはすでに留年確定でした。
そんな僕ですが、2年次くらいには友人と呼べる知り合いも出来ました。
昼食を食べたり、カラオケに行ったりそれなりに楽しかったです。しかし、働いてお金を稼ぐ、職場の人と色々話をする方がよっぽど楽しく充実感がありました。こうやって多くの学生が学生生活にピリオドをうつんだとこの時はじめて知りました。
その後、運送会社は残念なことに倒産してしまいました。
当初、僕は派遣でこの運送会社で働いていましたが、突然派遣元が撤退し直接雇用に。何かおかしいなぁと思っていましたが、今考えれば経営難だったんだと分かります。
今頃何しているんだろう山本さん…。もう会うことはないのかなぁ…会ってまた話をしたい、そんな尊敬できる人です。
あの時一緒に働かせてもらったことは今の僕にとって一生の財産です。この場をおかりして…あの時の出会った全ての人に「ありがとうございました」m(__)m
仕事のやりがいを感じた僕は、新しいアルバイト探しを始めました。
彼女いない学生でもパチンコ店でバイトすれば彼女は見つかる!?
運送の仕事が続けられなくなった僕は、今度はどうせやるならと、同年代も働くバイトにしようと考えました。
やっぱり彼女が欲しいですよね?彼女が出来れば学生生活は楽しくなるんじゃないか?
とても単純な考え方です(笑)女の子が多く働く職場探しです。楽しそうに働いている求人誌の写真を見て、「このバイトはどうなんだ?」なんて、色々想像しながら探していました。
自分では未知の世界でしたが、時給も高いパチンコ屋さんで働くことに決めました。
なんとなく楽しそうで女の子も多くて華やかな雰囲気がしたからです。求人誌に掲載されている写真に印象操作されてしまいました(笑)
しかしこれが今後の僕の人生を左右する大きな決断になるとは、この時は少しも疑うことはありませんでした。
パチンコは自分一人でやったことはなく、友人の川島と一緒に打ったくらいです。「パチンコは稼げるからやってみる?」と、上手い口車に乗せられて初めて遊んだ記憶が蘇ります。
パチンコをしている人を見ると何が楽しいんだ?くらいの感覚です。お金をわざわざ使って、パチンコするのが理解できませんでした。
しかし、実際に働いてみると予想以上に僕の心はとても満たされていくことになります。
「こんなに楽しいことってあるの?」と感じるくらいの気持ちになれました。
(第2話終了。第3話へ続きます…)