ギャンブル依存症が辞められない最大の原因が、“ 脳内麻薬 ” の過剰分泌です。
“ 脳汁 ” とも言われるこの脳内麻薬は、適度に放出されれば幸せを感じ人間を豊かにしてくれます。
しかし、ギャンブルによる異常な脳内麻薬の放出は、時に人間を不幸のドン底におとしいれます。「ギャンブルで勝ったのはいいけど…、この興奮を何度も味わいたい…」
それが「脳内麻薬」の恐ろしいところです。
今回は、この「脳内麻薬」を詳しく、分かりやすく解説していきます。また、この脳内麻薬を科学的に見ていき、日本におけるギャンブルの実態にも触れます。
Contents
ギャンブルが辞められない原因は脳内麻薬です
ギャンブルが簡単に辞めれないのは、脳内麻薬が原因であることはお伝えしました。
その原因となる主な神経伝達物質が「エンドルフィン」と「ドーパミン」、そしてもう一つが「アドレナリン」です。
この3つの物質が依存症に大きく関係していたのです。
ギャンブルで大きな当たりを引くと、ものすごく気持ちいい感覚になりますよね?ドバドバ分泌されると…、もうギャンブル無しでは生きていけない…それほどまでに依存度は高いのです。
どのような物質(ホルモン)なのか詳しく解説していきます。
脳内麻薬があなたを快感へといざなう
実は、20種類以上もの脳内麻薬がこれまでに見つかっています。
モルヒネなどの麻薬と似た作用がある物質で、脳内に分布していて、ある一定の刺激によって過剰に放出されていきます。麻薬と同じく、一度放出されると、繰り返し同じような快感を求め、同じ行動を繰り返していきます。
快感を得ることは生きていく上で決して悪いことではありません。しかし過剰な快感はときに人間を堕落させていきます。堕落とは生きていくのを困難にさせていくことです。
では実際に、ギャンブル依存との関連性の高い3つの脳内麻薬の違いを見ていくことにします。
エンドルフィン、ドーパミン、アドレナリンの違い
この3つの物質には同じような作用があり、単体で影響するというよりも、正確には同時に作用すると言っていいでしょう。
エンドルフィンが出ている時には、同時にドーパミンも、アドレナリンも分泌され相乗効果によって快感がさらに高まります。一度快感を経験してしまうと、何度も何度も同じような快楽を求めてしまうのが人間の性(さが)なのです。
それではエンドルフィンから順番に説明していきますね。
エンドルフィンとは?
一般的に脳内麻薬の代表格の一つとされているのが「エンドルフィン(β-エンドルフィン)」です。
特別な高揚感を感じることができ、大きな特徴として鎮痛作用があります。
例えば、ジョギングをしている時に長時間走っていると、息が苦しく足が痛くなってきてとても辛くなりますよね?でも我慢して一定時間走り続けていると、だんだん楽になっていく現象があります。ランナーズハイのような感覚は、エンドルフィンが出ている証拠です。
また、エンドルフィンはリラックスすることでも分泌されます。
食事や入浴、瞑想…性行為…。現代社会はストレス社会です。そのストレスという痛みが軽減されることで、僕たちは強く生きていけているのです。
ただし、エンドルフィンが分泌される原因によっては大きなリスクを伴います。
代表的なものが、過食症やギャンブル依存症です。
美味しいものを食べると幸せな気分になりますが、だからと言って過剰に摂取していると肥満にもなりますし、過食症の原因にもなります。
そして、ギャンブルも同様に、勝てた時はストレスも解消されて幸福感に満ち溢れますが、次第にギャンブルに依存するようになっていきます。
美味しいものをたらふく食べたり、ギャンブルをすることでエンドルフィンを出すのではなく、運動や入浴、瞑想といった健康的なものでエンドルフィンを出していくのが理想です。
誰もが一瞬の幸福によって、不幸になりたくはありませんからね。
このように、疲れているのに疲れを感じなかったり、痛みを軽減してくれ、多幸感まで感じるといった痛みや苦しみを幸福に変えてくれるのがエンドルフィンの役目なのです。
次は混同しがちなドーパミンについてお話します。
ドーパミンとは?
「ドーパミン」とは、快感、幸福感の神経伝達物質(ホルモン)です。
何か目標にしていることが達成した時、何かを達成できそうな時、また達成するイメージを持った時にドバドバっと放出されるのがドーパミンです。
具体的例で説明しますね。
エンドルフィンの放出条件
- 目標とする大学に合格した時
- 運動をした時
- パチンコで大当たりした時
- 万馬券を当てた時
- カジノで一攫千金を夢見ている時
- 恋愛が成就した時
- 性行為をした時
など、いづれも目標を達成した時や達成しそうな時、そして良いイメージが作られた時に分泌されます。
ドーパミンには幸せになったり、目標達成を叶える上での重要な役割を担っています。ドーパミンの特徴として、ヤル気や行動力、集中力、記憶力の高まりが挙げられます。
それによって、目標は成し遂げやすくなり、更に自身を向上させることも出来ます。普段からヤル気がない性格の人は、ドーパミンを利用することで改善も可能です。
ドーパミンを出す方法としては、目標設定が重要です。
少しだけ難しい短期的な目標を設定し、達成した時の自分へのご褒美を用意しておくのがコツです。
また、エンドルフィンと同じように運動をすることでもドーパミンの分泌を促します。
運動をすることで頭がスッキリとした経験はありませんか?これもドーパミンの効果なのです。
しかし、メリットがある反面、リスクもあります。
ギャンブルやタバコ、薬物でもドーパミンは放出されます。その際のドーパミンによる快感は、言わばエクスタシー的要素が強く、多くの人は病みつきになり抜け出せなくなります。
さらに人間の身体はドーパミンの分泌をどんどんエスカレートしていく形で欲していきます。最初のドーパミンの量だけでは満足できず、2倍、3倍、4倍…と、終わりがありません。
多くのケースでは、生活が破綻することで自分の置かれている状況に気付きます。しかし気付いた時にはもう完全に依存してしまっているため、中々辞めることが出来ないのが現状です。
中でもギャンブル依存症問題は深刻で、投資するお金がなくなってもなおやり続け、借金や窃盗、犯罪にまで手を出すことも…。
ドーパミンは僕たちが生きて行く上で必要不可欠なものですが、時にリスクを伴うことも忘れてはいけません。
アドレナリンとは?
次は一度は聞いたことがある「アドレナリン」です。
アドレナリンはドーパミンと密接な関係にあり、アドレナリンが生成される前段階の物質がドーパミンとなります。
ドーパミンと同じくアドレナリンはヤル気を引き起こすホルモンで、興奮している時や緊張している時に分泌が促されます。心拍数や血圧を上昇させたり、筋肉を増強させ、脂肪の分解を促す作用もあります。
アドレナリンと言えば、「火事場の馬鹿力」です。時として人間は、自分でも思いもしない力を発揮することがあります。
アメリカで起こったエピソードをご紹介します。アメリカのジョージア州での出来事。
トニーという青年が車のタイヤ交換していました。
しかし不幸にも、車体を持ち上げていたジャッキが外れ、車に挟まれて意識を失います。
その光景をたまたま見ていた近所の子供が急いでトニーの母親アンジェラに知らせます。
愛する息子が車に挟まれ、意識を失っているのを見たアンジェラは、とっさにその車を一人で持ち上げ、助けが来るまでの5分間もの間ずっと支え続けていたのです。
車の重量はなんと350㎏!普通に考えると持ち上げるなんて無理に決まってます。
しかしアンジェラは一人で抱え、意識のない息子に声をかけ続けていたのです。
その後、近くの住人が助けに来てくれトニーを救出しました。
一時は生死の境をさまようトニーでしたが、2日後には無事退院します。命に別状はなかったようです。
「人間の脳は10%しか使われていない」
とよく言われますが、まさに特殊な能力を発揮した瞬間ですね。これもアドレナリンによる効果なんですよね。
それでは次に、日本で一番遊技人口の多いギャンブル、パチンコについての脳内麻薬の怖い話をしていきます。
恐ろしいまでに脳内麻薬の分泌を促すパチンコ店の過激な宣伝と演出効果
日本で最もポピュラーなギャンブルと言えば、パチンコ、パチスロですよね?
どこに住んでいても近くに必ずパチンコ店がたたずんでいますね。
ただ、パチンコ店や遊技台にはとんでもなく恐ろしい仕掛けがいくつも用意されているのです。「Enjoy♪」だけでは済まされないお話です。
パチンコ店が過激な宣伝やイベントが禁止された背景
今でこそまともな運営を行っているパチンコ店ですが、昔はとても過激な謳い文句で顧客を取り込んでいました。
- モーニング台多数あり
- 新装開店大開放
- 設定6据え置き
- 爆裂台多数ご用意
- 〇〇の付く日は〇〇の日
これらのフレーズを聞くと、「なんか勝てそうだなぁ」と多くの人が期待してしまいます。
誇大広告は禁止されているとは言え、自分のお店にお客を集めるために全く歯止めが効かない状態にありました。毎日がイベントをやっているようなお店も多くあったのは間違いありません。
しかし実際には全てのお客が勝てることはまずありませんよね?
お客も内心では、「負けるんだろうなぁ…」と思いつつも、過激な宣伝をされると「もしかすると勝てるかも…」と期待してしまうのが自然なことです。しかも一撃の大当たりによって大きな出玉が期待できる機種のオンパレード。
そうなると、やっぱり依存者がどんどん増えていきます。労働意欲を失う人や借金地獄に陥る人。
適度に遊べば庶民の憩いの場ですが、依存させてしまう環境が整っていれば人は落ちるところまで落ちていきます。
それを問題だと思った国や自治体は、過激な広告やイベントを規制し始めました。それによって過激な宣伝は少なくなりましたが、それでも依存者が減ることはありませんでした。
国が次に着手したのが、連チャン機や爆裂機を無くすことでした。それによって、パチンコ、パチスロに依存する人はだいぶ少なくはなります。しかしそれでも依存する人が後を絶たない状況は続きます。
広告やイベントを規制し、さらに出玉まで減らしたのになぜ依存者は減らないのでしょうか?
そこには遊技台の特殊な仕掛けが散りばめられているからなのです。
脳科学を駆使したパチンコ台、スロット台
「パチンコ、スロットをまた打ちたい!」
「大当たりして気持ちがいい♪」
そう思ってもらわないとお客さんはお金を使うことはありません。そう思わせるように遊技台には様々な仕掛けがされています。
パチンコやスロット台がやけにうるさく、まぶしいと思ったことはありませんか?
実は、脳科学的に音や光を交えるとさらに脳内麻薬が出るように実験結果から証明されているのです。
カナダの大学での実験をご紹介します。
ブリティッシュコロンビア大学の研究チームは、ラットの「カジノ」をつくり実験を行いました。
32匹のラットにおやつが手に入るギャンブルを教えます。
4つのボタンが用意され、当たるとおやつが出てきて、はずれるとギャンブルは中断されます。
当たりとはずれの確率や、おやつの個数、中断時間はボタンごとに異っています。
ラットにとって一番の戦略は、報酬は小さくてもリスクがないボタンを選ぶことでした。ラットは確実に報酬がもらえるボタンを記憶し、そのボタンを押し続けていました。
しかし、ラットのカジノに光と音を加えたところ、ラットたちの行動に変化が起きます。
通常の報酬よりも、大きな報酬を当てた時の方がより光と音が大きくなる仕掛けをしたところ、リスクがあっても大きな報酬をとるようになっていったのでした。
このラットのカジノ実験からも分かるように、光と音の刺激を与えることで、より「ハイリスク、ハイリターン」を好むようになっていくのです。
今のパチンコ台、スロット台を見れば、一目瞭然ですよね?
通常時もそうですが、大当たりするととんでもなく音と光の演出がこれでもかと登場します。お客さんにそういった刺激を与えることで、リスクをあまり考えることなくハイリターンを求めてくれるようになるのです。
光と音が激しい遊技台の方が、より脳内麻薬がドバドバ分泌されるのがラットの実験から分かります。
それだけのことをされてしまうと、ギャンブルから簡単に抜け出せないのも納得できますね。これはパチンコに限った話ではなく、ギャンブル全般に共通しています。
まとめ
エンドルフィンやドーパミンなどの脳内麻薬は、僕たちに癒しや幸福感を与えてくれます。
その一方で、ギャンブル依存症を発症させたり、非常にリスクのある側面も否定できません。そして、一度依存になってしまうと、中々抜け出せない環境が最初から周到に用意されています。
「何で俺はギャンブルがやめられないんだろう…」
そんなことを考える必要はありません。
抜け出せないようになっているのは、あなたが悪いのではなく、ギャンブルが抜け出せないように最初から巧妙に作り込まれているからです。
依存者はギャンブルだけに執着してしまうため、ギャンブルに代わるものを探すこと が依存克服にはとても有効です。
ぜひ自分に合うものを選んでやってみてくださいね!