お金を借りたら返すのが常識ですが、行き過ぎた取り立てはあってはならない行為です。
深夜から早朝まで取り立てが行われ、これまでに何千人と精神崩壊していった事実に憤りを感じざるを得ません。
どんな時代でも債務者は弱い立場に立たされ、押したらすぐに倒れる存在です。そんな弱者を食い物にする債権者を許すわけにはいきません。
ここでは、違法な取り立てを確認しつつ、取り立てへの正しい対処方法を確認していきます。
「違法な取り立ては、そのままにしていると状況は益々悪化していく」ということを認識しておいてくださいね。
Contents
- 1 法律で決まっている取り立てをしても良い時間帯
- 2 貸金業法21条で禁止されている取り立て行為の解説10個
- 2.1 【貸金業法 第21条 第1号】21時から翌8時までの電話、FAX、訪問の禁止
- 2.2 【貸金業法 第21条 第2号】債務者への追い打ちをかける取立行為の禁止
- 2.3 【貸金業法 第21条 第3号】正当な理由なしに、勤務先など自宅以外への取り立て行為の禁止
- 2.4 【貸金業法 第21条 第4号】退去するよう意思表示しているにも関わらず居座り続ける行為の禁止
- 2.5 【貸金業法 第21条 第5号】本人以外の第三者に借金等の事実を公表する行為の禁止
- 2.6 【貸金業法 第21条 第6号】他から借りて返済を要求する行為の禁止
- 2.7 【貸金業法 第21条 第7号】本人以外に、代わりに返済するように要求する行為の禁止
- 2.8 【貸金業法 第21条 第8号】本人以外の者から本人の連絡先等聞き出そうとする行為の禁止
- 2.9 【貸金業法 第21条 第9号】債務整理などして弁護士等から通知があった後の取り立て行為の禁止
- 2.10 【貸金業法 第21条 第10号】「やるぞ」と告げることも禁止
- 3 違法な取り立て行為への正しい対処方法
- 4 まとめ
法律で決まっている取り立てをしても良い時間帯
借金をしている人(債務者)から返済がない場合、お金を貸している人(債権者)は返済を迫ることが出来ます。
いわゆる「取り立て」と言われるものです。
しかし、この取り立ては適法に行われなければいけません。特に、電話による取り立ては電話して良い時間帯が決まっていて、その時間帯以外にしてはいけないのです。
取り立てを行って良い時間帯
貸金業法という法律で、取り立てが許可されている時間帯は8時~21時までになっています。
合計13時間の間であれば、電話による取り立てが可能です。
闇金融は取り立て時間はさほど気にしていない
貸金業を営む者は、必ず登録を受けなければならず、登録されていない貸金は違法です。
貸金業法第3条
第1項 貸金業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては内閣総理大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該営業所又は事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
第2項 前項の登録は、3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
このように、登録されるには貸金業の条件を満たしていなければそもそも貸金が出来ないわけです。
そうなると、違法な貸金業をやる人も中には出てきます。
闇金融もその一つで、法律に沿って営業していない為、しばしば違法行為を繰り返します。闇金融の取り立ての厳しさは有名で、電話をしてはいけない時間帯など全く関係なく電話をしてきます。
そういう違法な金融屋だと最初から分かって借りる人も多く、中々抜け出せない人も大勢いるのです。
闇金融からしたら、「借りたものは返してもらう」電話する時間なんて関係ないとうのが基本的なスタンスです。
直接、自宅に訪問して良い時間帯
借金の返済を延滞すると、場合によっては債務者が自宅に訪問することもあります。
しかし、この自宅訪問の時間帯にも制限がかけられていて、8時~21時までと決まっています。
さらに、突然訪問されても債務者も戸惑いますし、近所の目も気になるところです。
「今日のところは帰ってください」
このように退去するよう意思表示したのに債権者が帰らないケースもあります。帰らずに居座る行為は違法になるので、警察を呼んで対応してもらってくださいね。
貸金業法21条で禁止されている取り立て行為の解説10個
ここでは、取り立ての違法行為をご紹介します。
こういう行為は違法なんだと初めから知っているのと知らないのでは精神面でも違ってくるので必ず覚えておいてくださいね。
貸金業法第21条において、債権者が債務者に取り立てする際にやってはいけない行為が列挙されています。
一つづつ見ていきましょう。
【貸金業法 第21条 第1号】21時から翌8時までの電話、FAX、訪問の禁止
[貸金業法 第21条 第1項]
正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
先ほどもお伝えしたように、「不適当と認められる時間帯」とは、21時から翌8時までの時間帯のことで、この時間帯に取り立てることは禁止されています。
一般的に日中に仕事などで活動し、やっとゆっくり出来る時間帯ですね。この時間に取り立ての電話などかかってきては、体を休めることが出来なくなります。
【貸金業法 第21条 第2号】債務者への追い打ちをかける取立行為の禁止
[貸金業法 第21条 第2号]
債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないこと
その他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
債権者に事前に連絡して欲しい時間帯を伝えているにも関わらず、その時間帯以外に電話するようなことは禁止されています。
「〇〇時に連絡します」と言っているのに、「早く返済してください」などと追い打ちをかけることは違法行為になります。
【貸金業法 第21条 第3号】正当な理由なしに、勤務先など自宅以外への取り立て行為の禁止
[貸金業法 第21条 第3号]
正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
職場や実家などに突然電話されては、日常生活が壊されていきます。
よくありがちなのが、本人と連絡が取れないからと職場に電話するケースです。借金の噂が広まり仕事がやり辛くなり、離職することにも繋がります。
こういった行為は絶対に許してはいけませんよね。
【貸金業法 第21条 第4号】退去するよう意思表示しているにも関わらず居座り続ける行為の禁止
[貸金業法 第21条 第4号]
債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
これは本人以外の第三者であっても退去の意思表示を無視するのは違法行為となります。
「すぐに帰ってください」と言っているのに、その場に居座り続けることはとても迷惑な行為ですよね。
【貸金業法 第21条 第5号】本人以外の第三者に借金等の事実を公表する行為の禁止
[貸金業法 第21条 第5号]
はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
借金などの事実は他人に公表されると何らかの不利益を被ることも否定できません。
誰にも知られたくないことの一つが借金で、その事を張り紙などで公表することは債務者の人生をめちゃくちゃにする行為です。
返済が延滞しているなどし、早く返済して欲しいと思う債務者の気持ちは分かりますが、正当な方法で返済を迫るべきです。
【貸金業法 第21条 第6号】他から借りて返済を要求する行為の禁止
[貸金業法 第21条 第6号]
債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
「他から借りてでも返済しろ!」などと脅し、返済を要求する行為は違法です。
この行為は闇金融で特に多く、断固拒否してくださいね。
【貸金業法 第21条 第7号】本人以外に、代わりに返済するように要求する行為の禁止
[貸金業法 第21条 第7号]
債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
連帯保証人ではない本人以外の人に対して、借金を肩代わりするよう要求するのは違法です。
「取れるところから取る」その考え自体、許さるものではありませんね。人の感情に訴えて第三者に訴えかけるのが特徴的な常套手段です。
【貸金業法 第21条 第8号】本人以外の者から本人の連絡先等聞き出そうとする行為の禁止
[貸金業法 第21条 第8号]
債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
第三者が本人の居場所や連絡先を教えたくないと思っているにも関わらず、その情報を第三者から聞き出そうとする行為は違法です。
第7号も第8号も、第三者に借金等の事実を公表する行為(第5号)にもつながり、かなり悪質とも言えます。
【貸金業法 第21条 第9号】債務整理などして弁護士等から通知があった後の取り立て行為の禁止
[貸金業法 第21条 第9号]
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
債務整理等をしたあとは、その旨が債権者に通知されます。
その後は代理人弁護士などが債権者と話し合いを行い、債務者である本人と債権者は直接やり取りは行いません。にもかかわらず、本人と連絡を取ろうとすることは禁止されている行為です。
債務整理等をされると、回収できる金額が減額されることがこの行為の根本にはあります。
【貸金業法 第21条 第10号】「やるぞ」と告げることも禁止
[貸金業法 第21条 第10号]
債務者等に対し、前各号(第6号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
この第10号では、実際にしなくても21条の各行為を「やるぞ!」と言うことも禁止しています。
「もし借金を返さなかったら他の人に借金のことをバラすぞ」
そう言われるだけで債務者の心理状態は極めて追い詰められた状態になります。威圧する行為も違法な禁止されている行為です。
違法な取り立て行為への正しい対処方法
以上確認して頂いたように、違法な取り立て行為が日常的にあとを絶ちません。
なぜなら、お金を借りている借主は圧倒的に弱みを握られているからです。例え貸金業法の禁止行為を知っていたとしても、債権者の言いなりになりがちです。
そんな弱い立場の債務者が行うべき違法な取り立てへの対処方法をご紹介します。
違法な取り立てをされた時の相談窓口
どんなに取り立てが違法だと分かっていても、いざ当事者になると何も動けず立ち尽くすだけ…というのが現実です。
なかなか一人で行動できる強い人はいないのが普通です。
であれば、まずは厳しい取り立てをされたことを相談することが正しい対処法の一つになります。
警察、弁護士、金融庁、日本貸金業協会、全国銀行協会
どんな事実があったのか?どんなことで困っているのか?など、詳細に伝えていってくださいね。
そして、実際に取り立て行為をやめさせる為にも出来る限り“証拠”を保存しておきましょう。具体的には、取り立て行為の動画撮影や音声録音をして事実を記録に残しておくことが大切です。取り立てをされた日時や内容などをメモしておくことものちのち効力を発揮してくれます。
証拠があれば、警察や弁護士なども動きやすくなり、素早く取り立てをやめさせることも可能です。
専門の法律家に相談しよう!
取り立てへの相談窓口はいづれも無料で対応してくれます。
しかし、実際に動いてくれるかどうかは別問題ですぐに取り立てが停止しない場合もあります。
そうなると、違法な取り立てが続き生活破綻を引き起こす恐れも出てきます。
早め早めに、専門の法律家に相談することが大切です。
弁護士や司法書士は債権債務関連の専門家なので、早い段階で相談していきましょう。相談料は無料のところも多いので安心してくださいね。
相談と同時に依頼すればそのまますぐに動いてくれますよ。
まとめ
違法な取り立て行為は、貸金業法に明文化されています。
貸金業法は改正され、明らかな違法な取り立てから心理的に威圧する取り立てまで、今ではほとんど全ての行為が網羅されています。
しかしながら、いざ自分が被害者になると恐怖にさいなまれ動けなくなります。
そんな時は専門家に相談するのが一番の解決策です。
債務者本人と債権者で直接やり取りするよりも、第三者である専門家に入ってもらうことで事がスムーズに解決することも珍しくありません。
一人で悩まずにまずは専門家に相談してくださいね。
「朝になるのが怖い…」そういった恐怖は、今日でおさらばですよ。